福岡の会社設立代行はどこまでやってくれる?依頼範囲と、自分に残る作業
福岡で会社設立の代行を探していると、「まるごと代行」「フルサポート」といった言葉によく出会います。ただ、実際に申し込んでみると自分で決めること・自分で用意するものが思ったより多い、と感じる方は少なくありません。代行できる範囲は法律で線が引かれている部分があり、そもそも他人に任せられない工程も存在するからです。
この記事は、福岡で会社設立の代行を頼もうとしていて、「結局どこまでやってくれるのか」を申し込む前に知っておきたい方に向けたものです。料金の比較は別の記事に譲り、ここでは工程ごとに「代行できること」「代行できないこと」「頼めるが事務所によって差が出ること」の3つに仕分けしていきます。
福岡ならではの事情にも触れます。会社設立の登記を受け付ける法務局が県内に2庁しかないこと、公証役場は11か所から選べること、設立後の届出先が福岡市とそれ以外で変わることなどです。記載の内容は2026年8月時点で公式ページを確認したものです。
会社設立の工程は8つ。代行できるのはこのうち何か

会社設立の手続きを分解すると、おおむね8つの工程になります。このうち代行に任せられるのは書類の作成と提出まわりで、事業の中身を決める部分と、お金を動かす部分は依頼者に残ります。まず全体像を押さえてしまいましょう。
| 工程 | 内容 | 代行できるか | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1. 基本事項を決める | 商号・本店・事業目的・資本金・役員・決算期 | できない(相談は可) | 事業の中身に関わるため依頼者が決める |
| 2. 印鑑を用意する | 会社実印・銀行印・角印 | 手配は頼めることが多い | 印鑑3点セットを無料で付ける事務所もある |
| 3. 定款を作る | 会社の基本ルールを文書にする | できる | 行政書士または司法書士が作成 |
| 4. 定款を電子化する | PDFに電子署名を付ける | できる | 収入印紙4万円が不要になる。株式会社・合同会社とも有効 |
| 5. 定款認証を受ける | 公証役場で認証(株式会社のみ) | できる | 合同会社は認証そのものが不要 |
| 6. 資本金を払い込む | 発起人の口座に入金し通帳の写しを取る | できない | 本人名義の口座で行う必要がある |
| 7. 登記を申請する | 法務局へ設立登記を出す | 司法書士のみ代理できる | 申請した日が設立日になる |
| 8. 設立後の届出 | 税務署・県税事務所・市・年金事務所など | 頼める(範囲は事務所次第) | 期限が短いものがあるので要確認 |
※ 登記申請の代理で報酬を受けられるのは司法書士だけです。行政書士や税理士に頼む場合も、この工程は提携の司法書士が担当します。
この表で目を留めていただきたいのは、1番目と6番目です。どちらも代行に頼めない工程で、しかも会社設立の日程を左右します。基本事項が決まらなければ定款は作れませんし、資本金の払い込みが済まなければ登記は出せません。「代行に丸投げすれば早い」とは限らないのは、この2つがあるからです。
逆に言えば、この2つを先に片づけておけば会社設立は驚くほど速く進みます。福岡の事務所に問い合わせる前に、商号と事業目的、資本金の額だけでも決めておくと、初回のやり取りで話が具体的なところまで進みます。

出典:日本公証人連合会「定款認証の手数料はいくらか」(2026年8月時点)
定款の作成と電子定款:ここが代行のいちばんの中身

会社設立の代行に頼む価値がいちばん分かりやすいのが、定款まわりです。定款は会社の基本ルールを書いた文書で、商号・目的・本店所在地・設立に際して出資される財産の価額など、書かなければならない事項が会社法で決まっています。
そして紙で作ると収入印紙が4万円かかりますが、電子定款にすればこれが不要になります。この4万円は代行手数料と同じかそれ以上の金額ですから、電子定款に対応しているかどうかは費用面で無視できません。自分で電子定款を作ることもできますが、電子署名のための環境やPDF編集ソフトの準備が要るため、1回きりの手続きのために揃えるのは割に合わないことが多いのが実情です。
事業目的の書き方は、あとで効いてくる
定款のなかで、意外と後々まで影響するのが事業目的です。将来やるかもしれない事業を入れておかないと、始めるときに定款変更(登記の変更)が必要になり、費用と手間がかかります。逆に脈絡なく並べすぎると、法人口座の開設審査や許認可の場面で説明を求められることがあります。このあたりの相場観は、件数を扱っている事務所ほど的確です。代行に頼む実質的な利点のひとつと言えます。

出典:日本公証人連合会「Q3. 定款の認証に要する費用、株式会社設立の費用等はいくらですか。」(2026年8月時点)
定款認証は株式会社だけ。福岡の公証役場は11か所から選べる

定款ができたら、株式会社の会社設立では公証役場で認証を受けます。合同会社にはこの工程がありません。公証人手数料がまるごと不要になるため、合同会社の実費が軽くなる大きな理由になっています。
福岡県内の公証役場は11か所です。福岡・博多・筑紫・久留米・大牟田・小倉合同・八幡合同・田川・直方・飯塚・行橋にあり、本店が福岡県内であれば県内のどこの公証役場でも認証を受けられます。登記を出す法務局が2庁に限られているのとは対照的に、こちらは選択肢があります。
2024年3月からウェブ会議が原則になっている
以前は認証のために公証役場へ出向くのが普通でしたが、2024年3月1日からは全国の公証役場でウェブ会議による認証が原則になりました(利用者から特段の希望がない限り)。そのため、福岡県外に住んでいて福岡に本店を置く場合でも、認証のためだけに移動する必要は基本的になくなっています。
手数料は資本金の額等によって3万円・4万円・5万円に分かれます。加えて、発起人の全員が自然人で3人以下、発起設立、取締役会非設置という3条件をすべて満たし、資本金の額等が100万円未満であれば1万5,000円になります。この区分は2024年12月1日から適用されているもので、一人で株式会社を作る方の多くが当てはまる可能性があります。
出典:日本公証人連合会「ウェブ会議による定款認証の手続」(2026年8月時点)
登記申請:福岡で出せる法務局は本局と北九州支局の2庁だけ

資本金の払い込みが済んだら、いよいよ会社設立の登記申請です。この工程を代理できるのは司法書士だけで、行政書士や税理士に会社設立を頼んだ場合も、ここは提携の司法書士が担当します。
そして福岡で気をつけたいのが管轄です。福岡県内で商業・法人登記を扱っているのは、福岡法務局の本局と北九州支局の2庁だけで、西新・粕屋・福間といった出張所や筑紫支局は証明書の交付事務のみを行っています。つまり、これらの出張所に設立登記を持ち込むことはできません。
| 本店の所在地 | 申請先 | 所在地 |
|---|---|---|
| 福岡市・久留米市・大牟田市・飯塚市・糸島市・春日市・大野城市・筑紫野市・太宰府市・宗像市ほか | 福岡法務局 本局 | 福岡市中央区舞鶴3-5-25 |
| 北九州市・直方市・田川市・行橋市・豊前市・中間市・宮若市・遠賀郡・鞍手郡・田川郡ほか | 福岡法務局 北九州支局 | 北九州市小倉北区城内5-1(小倉合同庁舎) |
※ 詳しい管轄は福岡法務局の公式ページでご確認ください。
設立日は「申請した日」になる
会社の設立日は、登記が完了した日ではなく申請した日です。郵送で出す場合は法務局に到着した日が申請日になるため、日付を狙うなら余裕をもって送る必要があります。オンラインで出す場合も、登記所の受付時間は平日8時30分から17時15分までで、それ以降に送信したものは翌業務日の受付になります。大安に設立したいといった希望がある場合は、代行の担当者に早めに伝えておくと安全です。

出典:福岡法務局「本局・支局・出張所の一覧」(2026年8月時点)
設立後の届出まで頼めるか。福岡では提出先が分かれる

登記が済んでも会社設立の手続きは終わりません。むしろ期限が短いのは登記の後です。そして、この工程を代行の範囲に含めるかどうかは事務所によってはっきり分かれます。税理士法人や会計事務所に頼んだ場合は含まれることが多く、設立だけを引き受ける事務所では別料金か対象外のことがあります。
福岡で会社を設立した場合、届出先は国・県・市の3つに分かれます。税務署のほかに、法人県民税・法人事業税の福岡県税事務所、そして福岡市内なら法人市民税の窓口です。福岡市の場合、設立の日から10日以内に設立申告書を提出することになっており、提出先は財政局法人税務課 法人市民税係(福岡市博多区博多駅前2丁目8番1号 博多区役所新庁舎9階)です。
機関ごとに名前の付け方が違うので注意
細かい話ですが、実務でつまずきやすいポイントを挙げておきます。福岡の公的機関は、機関ごとに名称の付け方が違います。年金事務所は「東福岡年金事務所」のように地名が後ろに来ますが、労働基準監督署とハローワークは「福岡東労働基準監督署」のように地名が前に来ます。「福岡東年金事務所」「東福岡労働基準監督署」はいずれも存在しない名称です。書類を出す先を調べるときは、この違いを頭に入れておくと確実です。
出典:福岡市「法人市民税の概要(均等割・法人税割の税率、設立申告書の提出先)」(2026年8月時点)
クラウドサービスに頼む場合、代行される範囲はどこまでか

全国対応のクラウドサービスも、福岡での会社設立の選択肢としてよく挙がります。freee会社設立、マネーフォワード クラウド会社設立、弥生のかんたん会社設立などです。いずれもツールの利用自体は0円で、質問に答えていくと必要書類ができあがります。
ただし、ここまで見てきた工程に当てはめると、これらが担うのは主に3番目の「定款を作る」までの部分です。電子定款については提携の行政書士に委任するかたちを取っており、別途費用がかかります(各社とも自社の有料プランや会計ソフトの年間契約を条件に、その費用を負担する仕組みを用意しています)。定款認証と登記申請は、利用者自身か提携する専門家が行うことになります。
福岡で使うときに知っておきたいこと
福岡で会社設立をする場合、クラウドサービスには一点だけ注意したいことがあります。特定創業支援等事業の証明書は、クラウドサービスでは取得できません。これは市区町村の窓口に自分で申請するものだからです。福岡市で登録免許税を実質0円にする道を考えている場合、この部分は自分で進める必要があります。
なお、自分で進める道としてはもうひとつ、国が運営する法人設立ワンストップサービスがあります。定款認証から設立登記、設立後の各種届出までをまとめて申請でき、手数料はかかりません。マイナンバーカードと電子署名の準備が必要になりますが、実費だけで会社設立をしたい場合の現実的な選択肢です。

出典:デジタル庁「法人設立ワンストップサービス」(2026年8月時点)
見積もりを見るときに、範囲を確かめる7つの問い

ここまでの内容を、会社設立の問い合わせでそのまま使える質問のかたちにまとめます。福岡の事務所はどこも丁寧に答えてくれますが、聞かなければ書かれていないこともあるのが実情です。以下の7つを確認しておけば、範囲の行き違いはほぼ防げます。
- 提示額に電子定款の費用は含まれていますか。含まれていない場合はいくらですか。
- 提示額は実費込みですか、手数料だけですか。実費込みの場合、登録免許税と定款認証は含まれますか。
- 登記申請の代理は、御所属の事務所が行いますか。提携の司法書士が行いますか。
- この金額になるために、顧問契約などの条件はありますか。ある場合、月額と契約期間の縛りを教えてください。
- 設立後の届出はどこまで対応してもらえますか。税務署・県税事務所・市・年金事務所のうち、どれが範囲内ですか。
- 特定創業支援等事業の証明取得や福岡市の補助金について、案内はしてもらえますか。
- 設立日の指定はできますか。その場合、いつまでに何を用意すればよいですか。
とくに4番目は、料金表の見た目では分からないことがあります。福岡で「手数料0円」を掲げるサービスは、顧問契約を条件にしているところが多数を占めます。条件そのものは不当なものではありませんが、設立後に顧問を頼むつもりがあるかどうかで損得が変わるため、自分の予定と照らして判断してください。
出典:消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(2026年8月時点)
まとめ:代行に任せる部分と、自分に残る部分を先に分けておく

福岡で会社設立の代行を頼むとき、「どこまでやってくれるのか」を先に分けておくと、比べる基準がはっきりします。この記事で見てきたことを整理します。
- 会社設立は8つの工程に分かれ、代行できるのは主に書類の作成と提出まわり。
- 基本事項を決める工程と、資本金を払い込む工程は代行に頼めず、依頼者に残る。
- 定款は電子定款にすれば収入印紙4万円が不要。提示額に含まれるかを必ず確認する。
- 定款認証は株式会社のみ。福岡県内の公証役場11か所から選べ、2024年3月からウェブ会議が原則。
- 条件を満たせば定款認証の手数料は1万5,000円。2024年12月1日から適用されている区分。
- 登記申請の代理ができるのは司法書士だけ。福岡で出せるのは本局と北九州支局の2庁のみ。
- 設立日は申請した日。オンラインでも登記所の受付は平日17時15分まで。
- 設立後の届出は期限が短い。福岡市の法人市民税は設立から10日以内。
- クラウドサービスが担うのは書類作成まで。特定創業支援等事業の証明は自分で市に申請する。
こうして並べてみると、会社設立の代行に頼む価値は「面倒をなくすこと」よりも「間違えないこと」にあると分かります。定款の書き方ひとつで手数料が変わり、申請の時刻ひとつで設立日がずれる。そういう細かい分岐が多い手続きだからこそ、慣れている人に任せる意味があります。
そのうえで、自分に残る作業を助けてくれるかどうかで選んでください。設立後の届出まで見てほしいのか、福岡市の制度の案内までしてほしいのか、それとも書類だけ作ってもらえれば十分なのか。必要な範囲が決まれば、候補はかなり絞れるはずです。
出典:日本公証人連合会「公証人手数料令の一部を改正する政令の公布について」(2026年8月時点)
ここまで見てきたとおり、会社設立の代行で任せられるのは主に書類を作る作業と、窓口に出す作業です。商号をどうするか、事業目的に何を書くか、資本金をいくらにするか、決算期をいつにするか。こうした判断は、代行の担当者がいくら経験豊富でも、最後は事業をやる本人が決めることになります。
逆に言えば、ここさえ先に固めておけば代行はぐっと速く進みます。問い合わせる前に、この記事の工程表を見ながら決められるところだけでも埋めてみてください。「何が決まっていて、何が決まっていないか」がはっきりしているだけで、見積もりの精度も、設立までの日数も変わってきます。
福岡には、設立だけを引き受ける事務所も、設立後の経理まで続けて見る税理士法人もあります。自分に残る作業を把握したうえで、その部分を助けてくれる相手を選んでいただければと思います。手続きの詳細や最新の取り扱いは、各官公署の公式ページか専門家にご確認ください。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
掲載順に優劣の意味はありません。並び順はページごとに変えており、順位付けではありません。いずれも当サイトが実際に検索してURLの存在を確認したサイトです(確認時点の情報のため、移転・終了している場合があります)。
- 合同会社設立|会社設立 福岡
合同会社の設立に絞って手順と料金を説明したページ。
tano-office.com - 会社設立 福岡|行政書士たのなか事務所
行政書士と司法書士が組んで会社設立をまるごと代行する福岡市天神の事務所。
tano-office.com - 山本健治司法書士事務所
福岡市中央区赤坂の司法書士事務所。会社・法人登記を専門に扱う。
fukuoka-kaisya.com - 福岡の会社設立|ベンチャーサポート
福岡での会社設立の流れと費用をまとめたページ。
vs-group.jp - 福岡で伸びる会社設立をお考えの方へ
宮川公認会計士事務所の会社設立ページ。設立手数料0円を掲げる。
miyagawa-kaikei.com - 会社設立の必要書類|福岡法人成り支援センター
会社設立に必要な書類を一覧にしたページ。
startup-fukuoka.com - 福岡の会社設立【手数料0円】
福岡での会社設立を手数料0円で案内するサービスページ。
vp-kigyo.com - ベストパートナーズ行政書士事務所
福岡市中央区の行政書士事務所。顧問契約なしで会社設立の代行を受ける方針を掲げている。
next-fukuoka.com - 会社設立代行センター福岡
行政書士・社労士市川事務所が運営。株式会社の設立代行の料金を明示している。
kigyo.office-ichikawa.com - 合同会社設立代行 福岡
合同会社の設立を最短2日で登記申請すると案内するページ。
kigyo.office-ichikawa.com - 福岡公証役場の道案内
福岡公証役場への行き方をまとめたページ。定款認証に行く前に見ておける。
miyagawa-kaikei.com - 福岡法務局|福岡会社設立ガイド
福岡法務局の場所と管轄を会社設立の視点でまとめたページ。
startup-guidebook.com - 会社の設立について司法書士が解説|福岡中央司法書士事務所
福岡市中央区舞鶴の司法書士事務所による会社設立の解説ページ。
mori-office.jp - 福岡県で会社設立・法人登記する場合のポイント
福岡県で会社設立をするときの要点をまとめた記事。
biz.moneyforward.com - 設立後の届出|会社設立 福岡
会社設立の後に必要な届出を一覧にまとめたページ。
tano-office.com - そよぎ行政書士事務所 会社設立支援
福岡市東区の認定支援機関。登録免許税を実質0円にする導線まで説明している。
soyogi-office.jp - ベンチャーサポート税理士法人(福岡の税理士)
福岡の税理士として会社設立と設立後の顧問を案内するページ。
venture-support.biz - 福岡会社設立サポートセンター(税理士法人たかはし事務所)
福岡市東区。顧問契約とセットで設立手数料を無料にすると案内している。
t-tax.jp - 福岡の創業融資・制度融資・日本公庫
福岡で使える創業融資と制度融資を整理したページ。
kigyou-navi.com - 福岡県 福岡法務局管轄(商業登記・不動産登記)
福岡法務局の管轄を市町村単位で一覧にしたページ。
llc.nishi-jimu.com
この記事は、福岡での会社設立の進め方を決めるのに役に立ちましたか?