特定創業支援等事業は市によって条件が違う|福岡市・北九州市・久留米市を比べる
特定創業支援等事業は国の制度ですが、実際に支援を行い証明書を発行するのは市区町村です。そのため、受講の要件も、証明書の発行日数も、上乗せの補助があるかどうかも、市によって違います。
福岡県で会社設立をする場合、本店をどこに置くかで使える制度が変わることになります。とくに福岡市には登録免許税を実質0円にする補助金がありますが、北九州市と久留米市の案内には同じ制度が見当たりません。
この記事では、福岡市・北九州市・久留米市の3市について、各市の公式ページで確認した条件を並べました。会社設立で本店をどこに置くかを考えるときの材料になるはずです。内容は2026年8月時点で確認したものです。
国の制度だが、運用するのは市区町村

会社設立の費用を下げる特定創業支援等事業は、産業競争力強化法にもとづく国の制度です。証明を受けると会社設立の登録免許税が0.7%から0.35%に軽減されます。株式会社なら最低15万円が7万5,000円に、合同会社なら最低6万円が3万円になります。
この軽減の内容は全国共通です。しかし、実際に支援を行い証明書を発行するのは市区町村です。国が認定した創業支援等事業計画にもとづいて、各市が独自に運用しています。
そのため、次のような点が市によって違います。会社設立の日程を組むうえで、どれも無視できない項目です。
会社設立の代行を頼む場合でも、この証明書は依頼先が代わりに取得できるものではありません。市区町村の窓口に自分で申請する必要があります。会社設立の代行に期待できるのは、制度があることを教えてくれることと、設立の日程を制度に合わせて組んでくれることまでです。
出典:中小企業庁「登録免許税の軽減(産業競争力強化法)」(2026年8月時点)
3市の条件を並べて比べる

会社設立でこの制度を使う場合の条件を、福岡市・北九州市・久留米市について各市の公式ページで確認できた範囲で並べます。
| 項目 | 福岡市 | 北九州市 | 久留米市 |
|---|---|---|---|
| 受講の要件 | 1か月以上にわたる支援 | 1か月以上にわたる支援 | 1か月以上の支援 |
| 申請の期限 | 公式ページに記載なし | 公式ページに記載なし | 最後に支援を受けた日から2年以内 |
| 証明書の発行 | 概ね5営業日 | 1週間程度の余裕をもって申請 | 2週間程度 |
| 証明書の手数料 | 1枚300円 | 公式サイトに記載なし | 公式サイトに記載なし |
| 上乗せの補助 | 新規創業促進補助金(株式会社75,000円/合同会社30,000円) | 案内ページに記載が見当たらない | 案内ページに記載が見当たらない |
| 問い合わせ先 | 経済観光文化局 創業推進部 創業課/092-711-4455 | 産業経済局未来産業推進部スタートアップ推進課/093-582-2590 | 新産業創出支援課/0942-30-9136 |
※ 各市の公式ページを2026年8月に確認した範囲です。当サイト調べ。条件は変わることがあるため、必ず各市の公式ページでご確認ください。
この表でいちばん差が出るのは、下から2行目の上乗せの補助です。福岡市には新規創業促進補助金があり、軽減後に残った半額相当が補助されるため、会社設立の登録免許税が実質0円になります。
会社設立の情報をまとめたページのなかには、福岡市の補助金を福岡県全体の制度のように書いているものも見かけます。これは福岡市に本店を置く場合の制度です。本店を市外に置く予定なら使えません。会社設立の準備をするときは、本店を置く市の公式ページで確認してください。

出典:福岡市「特定創業支援等事業」(2026年8月時点)
福岡市:上乗せの補助があるが、順番が厳密

会社設立の負担という点で見ると、福岡市は3市のなかで唯一登録免許税の残り半額を補助する制度を持っています。新規創業促進補助金といい、補助額は株式会社が一律75,000円、合同会社が一律30,000円です。
令和8年度の受付期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日まで(必着)とされています。ただし公式ページには「予算に限りがあるため、申請状況によっては、受付期間内でも受付を終了する場合があります(先着順)」と明記されています。
対象者の要件は7項目あり、そのすべてを満たす必要があります。本社が福岡市内にあること、他に経営に携わる会社がないこと、福岡市の市税および延滞金等を滞納していないことなどが含まれます。
受講の要件は1か月以上にわたる支援で、経営・財務・販路拡大・人材育成の4つの知識を身につけることとされています。証明書の手数料は1枚300円、発行までに概ね5営業日です。実施している支援事業は計18事業あります。

出典:福岡市「新規創業促進補助金」(2026年8月時点)
北九州市:融資と保証のメリットが明示されています

北九州市で会社設立をする場合の特定創業支援等事業も、1か月以上にわたって支援を受け、証明書を取得するという要件です。証明書の発行については、1週間程度の余裕をもって申請するよう案内されています。
北九州市の公式ページで明示されているメリットは3つです。登録免許税の軽減に加えて、資金調達の面での優遇が並んでいます。
創業関連保証の前倒しは、会社設立より前に資金を借りたい場合に効いてきます。通常は事業開始の2か月前からしか使えないものが、6か月前から使えるようになります。設備を先に用意する必要がある事業では、この差が大きくなります。
北九州市には会社設立の代行を扱う税理士法人もあります。融資まで含めて相談したい場合は、地元で創業支援に慣れている相手を選ぶと話が早く進みます。
なお、北九州市で会社設立をする場合、登記は福岡法務局北九州支局に出すことになります。福岡県内で設立登記を扱っているのは、本局と北九州支局の2庁だけです。
出典:北九州市「特定創業支援等事業による支援」(2026年8月時点)
久留米市:2年以内という申請期限があります

久留米市で会社設立をするときに気をつけたいのが、申請の期限です。公式ページには、1か月以上の支援を受けたうえで最後に支援を受けた日から2年以内に証明書を申請するという条件が示されています。
証明書の発行には2週間程度かかるとされています。福岡市の概ね5営業日と比べると長めなので、会社設立の日程を組むときは余裕を見ておく必要があります。
対象となる支援事業としては、創業塾、創業支援塾、女性の起業セミナー、KURUME START FOUNDING ACADEMY、田主丸町商工会の個別相談支援などが挙げられています。
なお、久留米市で会社設立をする場合、登記は福岡市中央区の福岡法務局本局に出すことになります。久留米支局は証明書の交付事務などを扱っていますが、設立登記の申請はできません。
久留米市には会社設立の代行を扱う司法書士事務所もあります。地元の事務所なら、久留米市の制度の事情を踏まえた日程を組みやすいはずです。2年以内という期限や、証明書の発行に2週間程度かかることを知っている相手に会社設立の代行を頼めると安心です。

出典:久留米市「特定創業支援等事業」(2026年8月時点)
本店をどの市に置くかを考えるときの視点

ここまで市ごとの違いを見てきましたが、制度だけで本店を決めるのは避けてください。差は株式会社で7万5,000円。一度きりの話です。
むしろ長く効いてくるのは、設立後に毎年かかる負担のほうです。福岡市は法人市民税の税率が他の市町村に比べて高いという質問を公式のよくある質問に掲げています。法人市民税の均等割は年額50,000円から(資本金等の額1,000万円以下かつ従業者数50人以下の区分)で、赤字でもかかります。
| 要素 | 考えること |
|---|---|
| 特定創業支援等事業の制度 | 上乗せの補助があるか。一度きりで株式会社なら7万5,000円の差 |
| 法人市民税 | 均等割の額と税率。毎年かかるため長期では影響が大きい |
| 登記の管轄 | 福岡県内で設立登記を扱うのは本局と北九州支局の2庁だけ |
| 取引先との距離 | 営業のしやすさ。移動時間は毎日のコストになる |
| 事務所の費用 | 賃料は毎月かかる。制度の差より大きいことが多い |
| 採用のしやすさ | 人を雇う予定があるなら、通勤圏の広さが効いてくる |
※ 税率や制度の詳細は各市の公式ページでご確認ください。
こうして並べると、制度の差は要素のひとつにすぎないことが分かります。事務所の賃料が月1万円違えば、年間で12万円。登録免許税の差はすぐに逆転します。
会社設立の代行を選ぶときも、この制度への対応を基準のひとつにできます。公式サイトで特定創業支援等事業に触れている事務所なら、制度を前提にした会社設立の日程を組んでもらいやすくなります。
出典:福岡市「税金に関するよくある質問(法人市民税の税率が他の市町村に比べて高い理由を含む)」(2026年8月時点)
まとめ:市ごとの違いを押さえる

福岡県の3市について、特定創業支援等事業の条件を整理します。
- 特定創業支援等事業は国の制度だが、運用するのは市区町村。条件が市によって違う。
- 登録免許税が0.7%から0.35%に軽減される点は全国共通。
- 福岡市には新規創業促進補助金があり、残りの半額相当が補助される。実質0円になる。
- 福岡市の補助金は登記の前に交付申請が必要。先着順で予算の上限がある。
- 福岡市の証明書は1枚300円、発行は概ね5営業日。実施している支援事業は計18事業。
- 北九州市は登録免許税の軽減に加えて、創業関連保証の前倒しと公庫の利率優遇を明示。
- 北九州市の証明書は1週間程度の余裕をもって申請するよう案内されている。
- 久留米市には最後に支援を受けた日から2年以内という申請期限がある。
- 久留米市の証明書の発行は2週間程度。窓口は電話予約制。
- 北九州市と久留米市の案内ページには、上乗せの補助制度の記載が見当たらない。
制度の差だけで本店を決めるのは本末転倒ですが、本店を決めたあとに、その市で何が使えるかを調べるのは十分に意味があります。どの市でも登録免許税の軽減は受けられますし、融資や保証の面でのメリットもあります。
出典:福岡市「創業・スタートアップ支援」(2026年8月時点)
ここまで市ごとの違いを並べてきましたが、制度の有利さだけで本店を決めるのは本末転倒です。差は株式会社で7万5,000円。一度きりの話です。
それより、取引先との距離、通勤のしやすさ、事務所を借りる費用、採用のしやすさ。こうした要素のほうが、事業には長く効いてきます。福岡市は法人市民税の税率が他の市町村より高いという事情もあります。
制度は、本店を決めたあとに「その市で何が使えるか」を調べるための材料と考えてください。どの市にも特定創業支援等事業はあり、登録免許税の軽減は受けられます。条件は変わりますので、実際に使う前には各市の公式ページでご確認ください。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
掲載順に優劣の意味はありません。並び順はページごとに変えており、順位付けではありません。いずれも当サイトが実際に検索してURLの存在を確認したサイトです(確認時点の情報のため、移転・終了している場合があります)。
- 会社設立サポート|福岡の会計事務所 どんたく会計
福岡市中央区舞鶴の会計事務所。福岡市の制度で登録免許税が0円になる例を示している。
dontaku.jp - ベンチャーサポート税理士法人 福岡オフィス
福岡市中央区天神。特定創業支援等事業と福岡市の補助金まで説明している。
vs-group.jp - 会社設立の登録免許税はいくら?計算方法や半額に軽減するコツ
登録免許税の計算と軽減の条件を解説した記事。
biz.moneyforward.com - そよぎ行政書士事務所 会社設立支援
福岡市東区の認定支援機関。登録免許税を実質0円にする導線まで説明している。
soyogi-office.jp - 福岡市で会社設立する方法は?創業支援や補助金、相談先を紹介
福岡市の創業支援と補助金を会社設立の流れに沿って解説した記事。
freee.co.jp - 福岡市新規創業促進補助金|スマート補助金
福岡市の補助金の概要をまとめた補助金情報サイト。
smart-hojokin.jp - 会社設立の登録免許税はいくら?計算方法と半額にする方法
登録免許税の半額軽減について解説した記事。
takeba-kaikei.com - 山本健治司法書士事務所
福岡市中央区赤坂の司法書士事務所。会社・法人登記を専門に扱う。
fukuoka-kaisya.com - 会社設立代行センター福岡
行政書士・社労士市川事務所が運営。株式会社の設立代行の料金を明示している。
kigyo.office-ichikawa.com - 司法書士上野事務所
久留米市の司法書士事務所。会社設立を含む登記を扱う。
s-ueno.work - 福岡県での会社設立にかかるコストを徹底解説
福岡での会社設立の費用を項目ごとに解説した記事。
matsuoka-office.com - 福岡の創業融資・制度融資・日本公庫
福岡で使える創業融資と制度融資を整理したページ。
kigyou-navi.com - 創業融資|福岡商工会議所
福岡商工会議所が案内する創業融資のページ。
fukunet.or.jp - 福岡県の行政書士を探す(ミツモア)
福岡県の行政書士を費用や口コミで比較できる紹介サイト。
meetsmore.com - 久留米市のおすすめ司法書士事務所(PRONIアイミツ)
久留米市の司法書士事務所を比較できる紹介サイト。
imitsu.jp - 北九州市で会社設立する流れ・ポイント
北九州市で会社を設立するときの流れをまとめた記事。
biz.moneyforward.com - 合同会社の設立費用はいくら?登録免許税や資本金の相場
合同会社の設立費用の内訳と相場を解説した記事。
yayoi-kk.co.jp - 福岡市のおすすめ税理士事務所|選ぶポイントや費用相場
福岡市の税理士事務所を比較できる紹介サイト。
biz.ne.jp - 福岡のバーチャルオフィス一覧|天神・博多で法人登記できる住所
福岡のバーチャルオフィスをまとめた比較ページ。
virtualoffice-resonance.jp - ベストパートナーズ行政書士事務所
福岡市中央区の行政書士事務所。顧問契約なしで会社設立の代行を受ける方針を掲げている。
next-fukuoka.com
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